シルデナフィルとは?効果・副作用・作用機序などを解説!

VA

シルデナフィルとは

シルデナフィルは、製薬大手ファイザー社が開発した世界初のED(勃起不全)治療薬の有効成分です。
最も古くから使用され、最もデータが豊富なED治療薬でもあります。

日本では、1,100 万人以上の男性が ED に苦しんでいます。
医療機関を受診していない人を数えると、この数字は氷山の一角と言えます。

数年前、ほとんどの人は過労や年をとったために、楽しい夜遊びをあきらめなければなりませんでした。
しかし、シルデナフィルの出現は、世界中の男性に希望をもたらしました.

充実したナイトライフは、勃起不全の男性に自信を与え、日中の仕事や趣味に活力を与えます。
シルデナフィルは、性生活の悩みを解消し、「生涯現役」を実現できる薬と言えます。

目次

1. シルデナフィルの歴史
2. シルデナフィルの研究会社
3. シルデナフィルの作用機序
4. シルデナフィルの効果効能
5. シルデナフィルを主成分する医薬品
6. シルデナフィルの服用方法
7. シルデナフィルの副作用
8. シルデナフィルの併用注意
9. シルデナフィルの併用禁忌
10. シルデナフィル商品を入手する方法
11. シルデナフィルのまとめ

シルデナフィルの歴史

シルデナフィルの歴史はED治療薬開発の歴史でもあります。

シルデナフィルは、もともと cGMP (環状グアノシン一リン酸) 特異的 PDE5 (ホスホジエステラーゼ 5) の選択的阻害剤として発見されました。

狭心症の治療薬としてヨーロッパで開発されました。
しかし、被験者は狭心症の結果が悪いと報告しました。

したがって、製造業者が被験者に過剰な薬を返却するように頼んだとき、多くの被験者はそうすることに消極的でした。

このため、1993 年 7 月から勃起不全患者を対象とした臨床試験が実施されました。

有効性と安全性が認められ、1999年1月に「ED(勃起不全)(​​満足な性交に十分な勃起を維持・維持できない患者)」に対して日本で承認されました。

その上、水なしで服用できるODフィルム(口腔内崩壊フィルム)製剤がすでに発売されており、日本では2016年から使用が許可されています。

その後、シルデナフィルの元祖「バイアグラ」の特許が切れたため、ファイザー以外の多くのメーカーが海外からバイアグラジェネリックを発売しました。

狭心症治療薬への模索

当初シルデナフィルは、狭心症治療薬として有効であるという仮説の元で治験が開始されていました。

狭心症とは心臓の筋肉である心筋に血液を送る冠動脈という動脈の病気で、中年の男性に多くみられます。
再発を繰り返すと心筋梗塞へと発展するリスクが高く、心筋が壊死し最悪の場合は死亡することもあります。

心筋梗塞と狭心症は似た疾患ですが、狭心症の場合は激しい運動をしたときや暖かい場所から急に寒い場所に移動したときなど、心臓に過度な負担がかかったタイミングで突然胸が痛くなる病気です。

心血管に血液が送り込まれないため胸がぎゅっと締め付けられる感覚があり、非常に苦しい症状を呈します。

シルデナフィルを用いた治験は、このような狭心症の症状に悩む患者の心臓の血管を拡張し血流促進を改善するために行っていました。
しかし、英国において狭心症の患者には改善効果がないことが判明しました。

一方で、英国の健康成人男性複数に対して安全性確認と代謝確認などの試験を行っていたところ、勃起促進作用が多数報告されました。

研究元であるファイザーは急遽方向転換を行い、勃起不全に悩む患者さんたちを救うお薬としての開発へと舵が切られることになりました。

勃起薬への展開

シルデナフィルを、狭心症治療薬からED改善薬の開発へ転向したファイザー社ですが、当初は勃起不全改善のための医療用医薬品は世界には存在していませんでした。

インドやアフリカ、中国などで古来より使われているハーブや漢方薬などを精力剤として用いていましたが、即効性を持ちながら物理的に勃起を維持するお薬の開発は難しいと考えられていたのです。

狭心症の薬としては日の目を見ませんでしたが、被験者たちの「勃起不全がよくなった」という声が集まり、改めてED治療薬としての治験が始まりました。
挿入の頻度や勃起の維持について専門医によるスコアリングを設けて何度も試験を行い、勃起不全改善効果が立証されました。

研究を重ね、安全に使用できる用法用量も決定されバイアグラは無事に患者さんの手元に届くようになったのです。

青いひし形のかたちをしていることから、別名「ブルーダイヤモンド」と呼ばれるようになり、夢の薬として世界中の男性から人気を博するようになりました。
1999年、日本では異例のスピードで承認されました。

その後、錠剤では飲みにくい状況があるとの患者さんからの声を受け、水無しでどこでも飲めるODフィルム状の開発も進みました。
国内においては2016年から使用可能となっています。

肺高血圧症治療薬の研究

更に時を経てシルデナフィルの新たな利用方法が模索され続けた結果、「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」の治療薬「レバチオ」として世に知られることとなりました。

バイアグラにはシルデナフィルとして25mgが含まれますが、レバチオの中にはシルデナフィルは20mgが含有されています。

肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送るための血管「肺動脈」に流れる血液の圧力が上昇して心臓の右室負荷が増加し、最終的には右心不全に至る進行性の珍しい病気です。

日本における肺高血圧症の患者数は年々増加傾向にあり、平成26年の厚生労働省の統計では2,587人にのぼると報告されました。

20歳から60歳代に多く発症し、特に女性に多い疾患とされています。

小児の年代では男女差は認められていません。
動悸や息切れから始まり、進行すると失神したりチアノーゼが起こったりし、手足がしびれることもあります。

PDE5を阻害するという作用機序により肺動脈を拡張させ、血流を改善することで心臓の右室負荷が軽減できます。
日本では2008年に認可を得ています。

発売当初は「レバチオ錠」のみの販売でしたが、2017年9月には「レバチオODフィルム・レバチオ懸濁用ドライシロップ」の剤型も承認され、錠剤の経口摂取が難しい患者さんにも服用できるように工夫されています。

シルデナフィルの研究会社

シルデナフィルは、米国ニューヨークに本拠を置く製薬会社ファイザーによって開発されました。
前述のように、元々は心臓病で死にゆく患者を救うための狭心症の治療薬として研究されていました。

狭心症治療薬としては、効果はあまりよくありませんが、ED(勃起不全)を改善できるという研究結果が得られています。

ファイザーは、世界 150 か国以上に約 90,000 人の従業員を擁する大規模なグローバル製薬会社です。
日本では、本社は東京の新宿にあります。

循環器系(強心薬がこのカテゴリーに属します)、中枢神経系、疼痛、炎症・免疫、腫瘍、ワクチン、泌尿器、感染症などの分野で革新的な新薬の開発を続けています。

代表的な医薬品は、高血圧・狭心症治療薬「ノルバスク」、脂質異常症治療薬「リピトール」、抗菌薬「ジスロマック」、睡眠薬「ハルシオン」、禁煙補助薬「チャンピックス」、疼痛治療薬「リリカ」、抗リウマチ薬「エンブレル」、認知症治療薬「アリセプト」、そしてED治療薬として圧倒的知名度を誇る「バイアグラ」などです。

これからも製薬業界の最前線に立ち、世界中の人々の健康に貢献していきます。

クエン酸シルデナフィル

シルデナフィルは、クエン酸塩の形態で経口投与します。
分子式および分子量は「分子式:C22H30N6O4S・C6H8O7/分子量:666.70」としています。

バイアグラ25mgにはシルデナフィルクエン酸塩として35.12mg、そのうちシルデナフィルは25mgが含まれています。
バイアグラ50mgにはシルデナフィルクエン酸塩70.32mgが、そのうち50mgがシルデナフィルです。

シルデナフィルという形では安定せず、また水に溶けにくいなどの理由があるためクエン酸塩として投与することになっています。

シルデナフィル製品の代表であるバイアグラの場合は、添加物として結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、乳頭水和物、酸化チタン、トリアセチン、青色2号を含んでいます。

シルデナフィルだけではなくほとんどのお薬が添加物によって安定状態となり、お薬としての形を保つことが可能です。

食品に入っている添加物は身体に悪いと思っている方もいるかもしれませんが、お薬の製造過程で必要な添加物とは異なりますのでご安心ください。

バイアグラ以外のシルデナフィル製品については、上記の添加物とは異なります。

バイアグラ

バイアグラとは、世界ではじめて開発されたED(勃起不全)治療薬です。

開発経緯は、前述のとおり狭心症治療薬としてたくさんの患者さんの命を救うことを目的とした研究から始まりました。

ファイザー社は、循環器系の医薬品開発に強いメーカーです。
日本国内でも「ノルバスク」「カデュエット(配合剤)」「リピトール」などの循環器関連製品が処方されています。

循環器系とは、心臓から送り出される血液やリンパを体内に循環させる器官を指します。

高血圧や脂質異常症と診断されている方は、心血管死のリスクを軽減するために、ファイザー社の医薬品を服用されていることが多いでしょう。
ただ、循環器病である狭心症に対してのシルデナフィルの効果は、満足できるものではありませんでした。

新しい医薬品の研究開発の成功確率は2万分の1から3万分の1といわれるほど低く、そのほとんどが結果を残せないのですが、シルデナフィルは失敗だけで終わりませんでした。

被験者からの「勃起不全が治った」「挿入頻度が増した」という声を聞いた研究チームは、ED治療薬として世に出せないかと考えたのです。

PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害による血管拡張が体の中のどの組織において起こりうる場合、心臓のみならず陰茎においても血管拡張がおこるはずだと考えられ、治験がやり直されました。

レバチオ

シルデナフィルは、肺高血圧症の治療剤としても使われている成分です。
日本国内において、レバチオは2008年1月に成人における肺高血圧症の効能効果で承認を取得しました。

ED治療薬「バイアグラ」と同じく、シルデナフィルが有効成分として含まれていますが、含有量はバイアグラとは異なります。

「バイアグラ」は25mgもしくは50mg(国内承認用量)、レバチオ錠は20mg、レバチオOD錠は20mg、懸濁用ドライシロップは900mgのシルデナフィルを含んでいます。

ドライシロップは粉末タイプで、水を加えた後シロップ剤として服用をします。
子供が服用する場合は体重によって薄め量を調整することが可能です。

2017年に、このドライシロップの剤型を発売し小児適応も取得したことで、希少疾病に苦しむ子供を救っています。

肺高血圧症は、肺動脈の血圧が高くなることでプラークなどにより肺血管が狭くなり、肺血管抵抗が高まって、最終的には右心不全によって死亡する可能性がある疾患です。

珍しい病気で希少疾病に分類されています。

シルデナフィルはPDE5を阻害することにより、cGMP濃度を上昇させて細胞の中のカルシウム濃度を低下させ、血管を緩ませて血流を良くすることが可能です。

シルデナフィルの作用機序

シルデナフィルは、どのような作用機序で勃起不全を改善してくれるのでしょうか。

健常な成人男性は、性的刺激を受けると脳から神経を介して信号が送られます。
この信号が陰茎に伝わることで陰茎海綿体の動脈が拡張し、血液が流れ込んできます。

これにより勃起状態が維持され、射精などで性的興奮が収まると陰茎海綿体の血管は元に戻り、血流も定常状態になり勃起が収まります。

ED(勃起不全)に悩む多くの方は、陰茎海綿体の動脈がうまく広がらず、血流が悪くなって勃起ができない状態になっています。
つまり、陰茎への血の流れを改善することができれば、勃起の実現が可能となるのです。

そこでシルデナフィルの出番です。
シルデナフィルは、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素を阻害する働きを持っています。

PDE5は、勃起状態から定常状態へ戻す際に働く酵素です。

ED患者さんは、本来勃起を保っているような状況であっても、PDE5が活発に存在しているために、意図しないタイミングで勃起がおさまってしまいます。

しかし、PDE5阻害薬であるシルデナフィルを投与することで、健常な成人男性と同じように、性的興奮が収まるまで力強い勃起を維持できるようになります。

陰茎だけでなく体中のあらゆる場所での血流改善効果があることから、他疾患への治療応用も検討されている物質です。

PDE5を阻害する

近年、勃起のメカニズムが明らかになってきました。

陰茎のNANC(非アドレナリン非コリン性)神経終末や海綿体内皮細胞から遊離される一酸化窒素によって、陰茎海綿体の血管が緩み(血管平滑筋の弛緩と表現されます)、cGMP(環状グアノシン一リン酸)が増え、陰茎海綿体の血流が増加して勃起が起こるとされています。

逆に、勃起状態がおさまる際にはPDE5酵素の働きにより陰茎の血流が低下し、通常状態に戻ります。

健康な方であれば射精など興奮が収まった際に働く酵素です。

EDに悩む多くの方は、そのPDE5が優位に働いてしまい、勃起しないあるいは持続しない状況に陥っています。
シルデナフィルは陰茎海綿体のPDE5を選択的に阻害することで陰茎海綿体血管平滑筋を緩めて血流を良くし、力強い勃起を実現させるお薬です。

シルデナフィルには性的興奮剤、つまり媚薬のような働きはありません。

あくまでも脳が性的刺激を受け取り、興奮として神経を伝わったときにのみ働くお薬ですので、服用したら勃起が続くというわけではないためご安心ください。

また、精液の量を増やす効果もありません。
射精時に精液が出ないと快感が得にくくなることがあります。
お薬の働きをしっかりと理解したうえで使用しましょう。

心血管系への作用

シルデナフィルの働きは陰茎だけにとどまらず、体内のさまざまな臓器で血管拡張を促進します。

少しでもたくさんの患者さんを救うべく、先に述べた肺高血圧症、新生児に多い心室中隔欠損症や動脈管開存症、慢性心不全、開心術中や術後などに応用が検討され続けています。

2017年に、シルデナフィルが虚血性心疾患におけるステント治療に有効とされる論文の発表もありました。

韓国のソウル大学病院がAHA(米国心臓協会)学術集会で報告したものです。

血管にステントを入れると、肥厚と呼ばれる血管内膜が分厚くなる現象により再狭窄を起こすリスクがありますが、バイアグラは血小板の凝集を30%抑制することで血管の肥厚を防ぎ、血流の滞りを改善できるという報告でした。

まだラットでの研究段階ではありますが、臨床応用への期待が高まっています。

その反面、この血流促進作用を考えると、心血管系疾患の既往があるED患者さんや、高血圧など循環不全のリスク因子がある患者さんは、使用に注意が必要です。

併用禁忌の項とも関連しますが、心血管系疾患の治療には一酸化窒素供与剤が汎用されます。
一酸化窒素供与剤とシルデナフィルの併用は命に関わるほどの降圧作用を示す可能性があると報告されています。

シルデナフィルの効果効能

この項目では、シルデナフィル塩酸塩の効能効果についてご紹介します。

バイアグラは、ED(勃起不全)と診断され、勃起しないために満足な性生活を行えないと認識している方に適応するED治療薬です。

いつも勃起しないという重度の症状に悩む方から、何回かに1回は失敗するという軽い症状の方まで使用できます。

服用年齢については、小児でのデータはないため基本的には18歳以上であれば何歳でも使えるお薬です。

2014年5月、日本国内で医療用医薬品としての特許が切れたためシルデナフィル製剤のバイアグラジェネリックが多数発売されました。

バイアグラのジェネリックとして販売されているシルデナフィルは、トーワ薬品製、キッセイ薬品製、テバ製などです。
世界共通のルールに則っているため、どのメーカーもバイアグラと同様の効能効果の承認を厚生労働省から取得しています。

肺高血圧症の効能・効果を取得している唯一のシルデナフィル製品、ファイザー社製の「レバチオ」については、他のシルデナフィルジェネリック医薬品では代用できません。

同じ成分ですが、効能・効果として国から認められていないためです。

効能

前述のとおり、バイアグラの効能・効果は満足な性交を行うに十分な勃起とその維持が出来ないED患者さんが対象です

シルデナフィルのみならず、お薬の添付文書には必ず「効能・効果」「効能・効果に関連する使用上の注意」「用法・用量」「用法・用量に関連する使用上の注意」という項目が順番に記載されるよう決まっています。

他にシルデナフィルを含有する製品、つまりシルデナフィルのジェネリック医薬品においても効能・効果は「勃起不全(満足な性交を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)」となっています。

厚生労働省が、臨床試験によって安全性と有効性が示されていると認めたお薬ですので安心して使用できます。

先発品のバイアグラと同じ効能・効果を求めるのであれば、海外の通販で販売されている製品よりも、厚生労働省に認可されたジェネリック医薬品のほうが安心といえます。

今や処方されているED治療薬の半数以上がジェネリック医薬品であるといわれています。
同じシルデナフィルを含んでいる医薬品ですが、レバチオの効能と効果は肺動脈性肺高血圧症のみとされており、ジェネリックは存在しません。

効果

医薬品の説明書きにおいて、「効果・効能」は作用機序という言葉の一括りでまとめられることが多くあり、似ている印象がありますが、本来の意味は異なります。

  • 効能:良い結果をもたらす働きや効きめ
  • 効果:ある働きかけによって現れる、望ましい結果や効きめ

という意味があります。

新医薬品の臨床効果確認実験の結果において、日本国内の後期第二相試験、欧州及び米国の第三相試験では、「挿入の頻度」および「勃起の維持」について、プラセボ投与群と比べて統計学的に優位に改善が認められています。

日本国内後期第二相試験では、服前は1.65回の挿入頻度でしたが、バイアグラ25mg投与群では3.52回、50mg投与群では3.82回という結果が数値としてあらわれています。

また、後に開発されたODフィルムも、錠剤と変わらない効果を立証しています。

「ED治療薬」と検索エンジンにかけると怪しいサプリメントがたくさんヒットしますが、バイアグラはそういった商品とは全く異なり、確かな効果が期待できます。

パートナーとともに目に見える効果を実感でき、しかも即効性があるお薬であることが科学的に証明されている医薬品です。

効果作用時間

作用時間は服用のタイミングや個人差にもよりますが、服用後5時間ほどの効果が見込めます。

通常用法・用量は、成人済みの患者さんにはシルデナフィルとして1回25~50mgを性行為の約1時間前に経口投与することが原則です。
また、1日の投与は1回とし、次の投与までの間隔は24時間以上を空けるようにします。

効果発現までの時間は服用から約1時間後です。

シルデナフィル25mg単回投与のTmax(お薬の血中濃度が一番高くなるまでの時間を示します)が0.8時間±0.6時間、50mg単回投与のTmaxが0.9時間±0.4時間という臨床結果が出ています。

また、1週間毎日1錠ずつ50mg連続投与した際のT1/2(ティーハーフといい、お薬の血中濃度が半分になるまでの時間を示します)は、2.09時間±0.12時間となっています。

このデータから、効果は約5時間続くと期待が見込めます。

個人差も大きく、例えば腎臓や肝臓の機能が落ちている方であればお薬の代謝が遅いので、長めに効く可能性があります。
持続時間が気になる方は医師に確認しておきましょう。

ED治療薬とはバイアグラだけではありません。
現在ではタダラフィルを主成分とするシアリスやバルデナフィルを含有するレビトラなど種類豊富な勃起薬があり、シルデナフィルよりも長く効くタイプのお薬もありますので、自分に合ったお薬を検討することが可能です。

シルデナフィルを主成分する医薬品

「シルデナフィル」と聞いても、すぐにわかる人はほとんどいません。
ED(勃起不全)治療中の男性は「バイアグラ」という商品名の方が馴染み深いかもしれません。

「シルデナフィル」は製品名ではなく物質名です。
このセクションでは、シルデナフィルを含む製品を紹介します。

シルデナフィルはファイザー社によって開発され、シルデナフィルを25mgまたは50mg含む製品は「バイアグラ」と名付けられました。
バイアグラは最初のED治療薬でした。

バイアグラが市場に出てから 20 年後、成分の特許が失効し、ファイザー以外の企業がシルデナフィルを含む製品を製造できるようになりました。
日本のジェネリック医薬品、つまり国産ジェネリック医薬品。

海外では規制環境が日本と異なるため、内容が異なる場合がありますが、海外で製造されたジェネリック医薬品もあります。

製品を安定させるために使用される添加剤は、メーカーによって異なります。

ED治療薬ではなく、前述の肺高血圧症治療薬として「レバチオ」という商品名で販売されている製品もあります。

Revatio は、Viagra と同様に、患者の少ない地域でファイザーによって販売されています。

バイアグラ

世界中ではじめてのシルデナフィルを含有する製品として、ED(勃起不全)患者さんに希望を与えた治療薬が「バイアグラ」ということは、既に述べました。

狭心症治療剤として期待されていたシルデナフィルが、結果として勃起不全改善薬となって世に出たことは有名な話です。

バイアグラの開発特許が切れた後、さまざまなシルデナフィル含有製品が発売されていますが、医療機関によってはまずバイアグラを勧められるケースも多いようです。

その理由として、さまざまな剤型が用意されていること、使用経験が多くデータが蓄積されているお薬なので安全性が高いことなどが挙げられます。

剤型については、私たちになじみ深い錠剤のほか、ODフィルム状が人気です。
ODとはoral disintegrationの略で、口腔内崩壊錠と呼ばれます。

水分がなくても飲みやすく、体内にしっかりと吸収される設計なので、場所を選ばずに服用することができ携帯にも便利です。

バイアグラは、日本のみならず世界中で使用経験が多く蓄積されているため、用量の決定や副作用の対処など医療従事者が慣れているという利点もあり、根強く人気を博しています。

世界的に有名であるED治療薬ですが、比較的食事の影響を受けやすい製品ですので飲み方には注意する必要があります。

バイアグラジェネリック(国内)

ED治療薬にジェネリック医薬品が登場したことによって、お薬の負担額が格段に減り、治療を開始する方が増えてきました。
バイアグラの特許が切れたのは2014年で、ED治療薬ジェネリック元年と言える年です。

ジェネリックに変更すると、クリニックにもよりますが1錠あたり500円前後安くなります。

金曜日だけ服用する方の場合、先発品では1ヵ月に6,000円から8,000円かかりますが、ジェネリック医薬品は4,000円から6,000円ほどの負担となります。

年間で計算すると、約24,000円抑えられる計算です。

バイアグラのジェネリック医薬品として国内で認可されている商品はたくさんあります。

武田テバ製薬、キッセイ薬品、東和薬品などです。

東和薬品においてはOD錠を開発し、水なしで服用できる製剤を実現しています。

レモン味とコーヒー味の2種類があり、患者さんにとっての飲みやすさを追求しています。
錠剤を半分に割りやすくする割線という溝を入れる工夫をなされている製品もあります。

50mg錠を処方されている人が、頭痛や体調不良などで25mgに減らして飲みたいと思った場合、ピルカッターで切りやすいようになっています。
メーカーによって、製品を安定させるための添加物や剤型は異なるため服用を検討している場合は医師に相談してみましょう。

バイアグラジェネリック(海外)

日本で作られているジェネリック医薬品もたくさんありますが、海外でもさまざまなメーカーがバイアグラジェネリックを販売しています。
有名な製品名は、カマグラゴールド、カベルタなどです。

海外ジェネリックというと聞きなれない名前が多くありますが、製品名とメーカー名を覚えておくようにしましょう。

なぜかというと、「海外のジェネリック医薬品なので効果・安全性はバイアグラと同じですよ」と嘘をついて、シルデナフィルを含有していない、もしくは用量が少ない製品やサプリメントを売りつけてくる悪徳業者も少なからず存在するためです。

カマグラゴールドは、アジャンタファーマ社から販売されているバイアグラジェネリックです。
アジャンタファーマはインドのムンバイに拠点を置くメーカーです。

成分含有量は50mgと100mgがありますが、ここで注意すべき点は、日本国内では50mgまでの使用しか認められていないということです。
外国人は体格も大きく、お薬や食べ物の代謝経路も日本人と異なります。
自己判断で100mgという倍量を摂取することは避けましょう。

インドのスマート社が開発した「バイスマ」も同様に、50mgと100mgの規格があります。
双方とも安い値段で売られていますが、トラブルのないよう慎重に購入検討しましょう。

他成分を含有するED治療薬

シルデナフィル以外の有効成分を含有するPDE5阻害薬には、「レビトラ」「シアリス」「ステンドラ」などがあります。

レビトラの有効成分はバルデナフィルです。
バイアグラに次いで世界で2番目に発売されたED治療薬で、ドイツの大手製薬会社バイエル薬品から発売されています。

作用持続時間が5~10時間とバイアグラよりも長い点や、食事の影響を受けにくい点、即効性が高い点が特徴です。

空腹時に飲むほうがもちろん効きは良いですが、700カロリー(牛丼並盛1杯)ぐらいであれば、比較的効果の減弱が少ないとされています。

シアリスは、有効成分としてタダラフィルという物質を含有しています。
2007年に日本イーライリリーより発売されました。

36時間という驚異的な持続力を持ち、週末に1錠飲んでおけば性的刺激によりいつでも効果が発揮されます。
体内に時間をかけて吸収されるため、持続性を重視する患者さんにおすすめです。

「ステンドラ」は第4のED治療薬と呼ばれています。
隣国である韓国で開発されたアバナフィルを含有しています。

日本人と似た体格のアジア人で治験を行っている点が他製品にない特徴で、人気が高まっていますが、日本ではまだ認可されていません。

女性用バイアグラ

バイアグラは男性用医薬品であり、女性への使用は認可されていません。

効能・効果についても「勃起不全」についてのみ認められているため、絶対にパートナーに勧めてはいけません。

性行為時の女性器の濡れにくさ感じにくさなど女性特有の悩みを改善するお薬に、女性用バイアグラ「ラブグラ」「ラブスマ」があります。

ラブグラはバイアグラと同じ成分シルデナフィルが配合されています。

女性器周辺の血流を良くし、不感症に悩む女性をサポートします。
血流が促進されることで膣湿潤を促す効果があります。
バイアグラを女性用に改良しているお薬のため、男性は服用できません。

副作用は、のどの渇き、鼻づまり、頭痛、動悸などが報告されていますので何か異常を感じたら服用をやめ、必ず医療機関へ相談するようにしましょう。

ラブスマも同様に、シルデナフィルを含有している女性向けのお薬です。
両製品とも性行為の約1時間前に服用し、次回の服用までは24時間以上空けることを基本としています。

また、正しい効果を得るために空腹時もしくは食後2時間以上たってから服用することが推奨とされています。

ネット通販で多く流通している製品ですが、偽造品であったり商品が届かなかったりとトラブルも散見されます。

お薬が効かないどころか、健康被害をもたらす可能性もゼロではありませんので気を付けましょう。

シルデナフィルの服用方法

シルデナフィルの服用方法は、適応症やお薬の剤型によって異なりますので注意しましょう。

まず、シルデナフィルをED治療薬として服用する場合は、25mgまたは50mgを1日1回服用します。
日本では100mgや150mgを服用することは認められていませんので、注意をしましょう。

また、投与間隔についても24時間以上空けることを厳守してください。

性行為の1時間ほど前に水で服用します。この時、空腹状態であることに留意してください。

バイアグラの効果を実感できない方のほとんどが、脂っこい食事やアルコールを大量摂取した状態で服用しています。
お薬の腸管からの吸収を妨げてしまうため、出来るだけ空腹時に飲むように心がけましょう。
どうしても難しい場合は、服用してから2時間経って薬剤が十分に吸収されてから、食事をするようにしてください。

女性用のシルデナフィル製品の場合は、最小用量(半錠)から服用することをおすすめします。

一方で、シルデナフィルを肺動脈性肺高血圧症のお薬として利用する場合は、1回20mgを1日3回、水で服用します。

いずれの場合も正しい服用方法をしっかりと理解し、有効かつ安全に使用するようにしましょう。

錠剤

シルデナフィルをED治療薬として服用する場合、かつ錠剤の場合の服用方法について詳しく解説します。

通常、シルデナフィルは1日1回25~50mgを性行為の約1時間前に経口投与を推奨しています。
65歳以上の高齢者の方や、肝障害を持つ患者さんおよび重度の腎障害のある患者さんについては、服用により血漿中濃度の増加が認められているため、服用量は25mgがすすめられています。

また、1日の投与回数は1回を限度としており、投与間隔は24時間以上を空けることが原則です。
高齢になると腎機能が衰えて代謝が悪くなることは避けられません。

65歳以上の方はい医師の相談なく50mgから服用することは控えるようにしましょう。

副作用として、頭痛やほてりが生じたり薬剤の効果が過剰となったりする場合があります。

空腹時に服用すること、アルコールを飲みすぎないこと(少量のアルコールであればリラックス効果が期待できるので制限はされていません)、柑橘系の食べ物、飲み物を一緒に摂取しないことなどにも留意し、満足できるナイトライフの実現を目指しましょう。

また、錠剤のメリットとしては、どの医療機関でも入手できること、ピルカッターなどで半分に割って飲むことができ用量を調節できることが挙げられます。

錠剤以外

この項目ではシルデナフィルをED治療薬として服用する場合、かつ錠剤以外を選ぶ場合について解説します。

先発薬発売元のファイザー社からは「バイアグラODフィルム」が発売されています。
ODは、口腔内崩壊錠とも言います。

水分がなくても口の中で溶けてくれるお薬で、透析などの水分摂取制限のある患者さんは重宝します。
日常においても、下痢止めや咳止めなどOD錠となっているお薬は多く、場所や時間を問わず服用できる利便性が人気の剤型です。
日本国内のジェネリックでは、東和薬品がODを発売しており、コーヒー味とレモン味をチョイスできます。

海外のシルデナフィルジェネリック「カマグラ」はゼリータイプ、チュアブルタイプ、発泡錠タイプなどさまざまな剤型をしており、必要に応じてすきなタイプを選ぶことが可能です。
ゼリーは、ライチ、青リンゴ、ラズベリーなど数種類の味があります。

チュアブルは、ラムネのように舐めたり噛んだりして摂取します。
イチゴ、オレンジ、バナナ、パイナップル味から選べるようになっておえり、飽きさせない工夫がなされています。

発泡錠は、水に溶かしてから飲むタイプのお薬でオレンジ味がついています。
液体のため体内に吸収されやすく、効果発現が早い可能性があります。

女性用バイアグラ

女性用に開発されたバイアグラとも呼ばれる製品「ラブグラ」「ラブスマ」なども、服用方法はバイアグラとほぼ変わりません。

性行為の約1時間前に水で服用します。
シルデナフィルは腸管から吸収されるため、空腹時もしくは食後2時間以上経ってからの服用がおすすめです。
油ものなどで満腹の状態ですと効果がうまく発揮されないため、注意しましょう。

また、ラブグラに関しては1回あたり錠剤を半錠、1日の服用回数は1回、投与間隔は24時間以上空けるなどの決まりがあります。
しっかりと守り安全に使用しましょう。

加えて、柑橘系の飲み物や食べ物と一緒に摂取してはいけません。
グレープフルーツなどに含まれる成分が、CYP3A4という代謝酵素を阻害しシルデナフィルの血中濃度を上層させてしまいます。
そのため、危険なほどに効きすぎる、もしくは副作用が起こる可能性が高まる可能性が出てきます。

特に注意が必要なのはグレープフルーツで、オレンジ、レモン、みかんでは相互作用は低いとされていますが、柑橘類のカクテルなど飲む際には十分に注意しましょう。
なお、少量のお酒はリラックス効果を促すので、問題ありません。

血圧のお薬や硝酸剤、抗不整脈薬、抗ウィルス薬、抗真菌薬(水虫薬含む)を飲んでいる方は安全のために服用できない場合があります。

予期せぬ副作用や事故が起こりかねませんので、事前に主治医に確認することをおすすめいたします。

肺高血圧症治療薬

肺動脈性肺高血圧症の治療薬として認可されているシルデナフィル含有製品は、「レバチオ」です。

保険外診療ではなく、医療保険を使用できるお薬です。

レバチオ錠とレバチオODフィルムはシルデナフィルを20mg、レバチオ懸濁用ドライシロップはシルデナフィル900mgを配合しています。

レバチオ錠、レバチオODフィルムは1回20mgを1日3回服用します。

レバチオ懸濁用ドライシロップは、粉末のまま服用せずに水などに溶かして飲みます。

成人であれば錠剤やフィルムと同様1回20mgを1日3回服用します。
1歳以上の小児では、体重によって投与量が異なります。

8㎏以上20㎏以下の小児は、1回10mgを1日3回経口投与します。

20㎏以上の小児は大人と同様に1回20mgを1日3回経口投与となっています。

ドライシロップは服用量の調整できる点がメリットで、小児科から待ち望まれていた剤型です。

肺動脈の血流改善効果、ステント周りの血の塊であるプラーク生成を妨げる効果が期待されている反面、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある患者さんや陰茎に構造上の障害がある患者さん、腎機能肝機能が落ちている患者さん、一酸化窒素供与薬を服用している患者さんには使えないこともあります。

医師の判断に従い、適切に服用してください。

適切な摂取量

ED治療薬としてのシルデナフィルは、適切な摂取量・摂取方法を守って服用すれば、安全かつ効果的に使用できます。

65歳以下の健康な成人男性の場合、シルデナフィル25mg~50mgを1日1回、性行為約1時間前に服用すると規定されています。

65歳以上の方や、腎機能障害・肝機能障害などを持つ方の場合は25mgから開始する規定が定められているため、医師とともに投与量の調節を行ってください。

若い方のほうが血流の流れが良いので効きやすく、用量が少なくて済む場合があります。

海外製品の輸入代行サイトを介して通販で購入する場合は、用量の記載に特に気を付けて購入しましょう。

日本で認可されている用量は50mgまでです。
海外では150mg、100mgといった製品がありますので、誤って服用すると強すぎる効き目や重い副作用が出る場合があります。

毎日性行為をするという日本人は非常に少ないと言われており、体質改善サプリメントや滋養強壮剤のように毎日服用することも、ほぼないとされています。

どのぐらいの頻度で服用するかは、性行為の頻度によって、個人の裁量に任される部分が大きいということです。

「次回の服用までは24時間空ける」というルールだけはきっちり守りましょう。

食事やアルコールの影響

シルデナフィルは、腸管から吸収されたのちに体内へ分布する物質です。
つまり、腸管に食べ物がある状態では吸収されにくく、効果が出にくいお薬です。

効果を得るためには、空腹時に服用することが一番といえます。

週末などでディナーやお酒の席を避けられない場合は、次のような対処方法もあります。

空腹時にシルデナフィルを服用しておき、30分から1時間ほど経って薬剤が吸収されるのを待ってから食事をするという方法です。

空腹時投与ほどの効果については、食事内容や個人差にもよるため一概にはいえませんが、満腹状態でシルデナフィルを服用するよりはいくらか効果が得られます。

この方法もとれない場合には、あっさりしたものを少しだけ食べるように努めます。油っぽい食事を満腹まで摂ることは避けましょう。

お酒に関しては、少量であれば許容されています。
むしろ、少量であればリラックス効果が期待でき、心身のリラックス状態は血管の緊張を和らげ血流を促進するために、相乗的に勃起不全改善効果が現れることもあります。

しかしながら、柑橘系のお酒には注意してください。

グレープフルーツなどに含まれるフラノクマリン酸がCYP3A4を阻害し、お薬の代謝を妨げることで薬剤の血中濃度が上がります。
副作用が強く出るなど、安全に使用できなくなる可能性があるため、極力避けるようにしましょう。

シルデナフィルの副作用

シルデナフィルの有効性・安全性は信頼できるものとなりつつあります。
日本でも1999年から長きに渡りバイアグラの臨床データを蓄積・分析・活用しており、厚生労働省も認可しているため、過剰に副作用におびえる必要はありません。

ただ、血管拡張作用があるお薬なので、心血管系疾患の症状には細心の注意を払って使用しなければならないことは、覚えておきましょう。

多くの副作用は一過性のもので、シルデナフィルの服用を中止すれば回復するケースがほとんどです。
過剰に敏感になる必要はありませんが、万が一体調不良となった場合、EDの改善はおろか満足できる性生活を送るという本来の目的が果たされません。

ED治療薬の副作用として起こりうる症状を頭に入れ、安心して服用できるように努めましょう。

パートナーと情報共有しておくことも一つの対策となります。

医療機関に受診せずに個人輸入通販サイトなどで購入している方は、特に厳重な注意を払ってください。

高血圧・糖尿病などの持病がある方、心血管疾患の既往歴のある方、心筋梗塞・脳梗塞の既往歴のある方、その他循環器疾患をお持ちの方は自己判断での服用は避けましょう。
海外では、そういった方の誤用による死亡例も起きています。

次の項目で実際報告される副作用を見ていきましょう。

おもな副作用

バイアグラ承認の際の国内臨床試験157例中、65例において副作用および臨床検査値異常が確認されました。
主な副作用は、血管拡張によるほてり・潮紅が17例(10.83%)、頭痛17例(10.83%)、CK(クレアチンキナーゼ)増加9例(5.73%)でした。

バイアグラ発売後に行った市販後調査においては、3152例中166例に副作用または臨床検査値異常が認められていました。
内訳として、血管拡張からくるほてり・潮紅は97例(3.08%)、頭痛34例(1.08%)、動悸13例(0.41%)が報告されています。

バイアグラとはPDE5阻害剤であるがゆえに、陰茎だけではなく体中の血管を弛緩させる働きがあります。

脳血管が必要以上に拡張されれば頭痛も起こり得ますし、心血管が拡張されれば動悸を感じることも可能性としてあり得ます。
また、鼻の血管が拡張されれば、鼻汁分泌や鼻づまりを起こすことも考えられます。

用量が過剰な場合、お薬が体内に吸収されやすい状況・体質の場合にはご注意ください。

大切なことはお薬の主な副作用を把握して、万が一の事態に備えることです。

いつもと違う体の変化が現れた場合には必ず医療機関へ相談して、用量を減らす、もしくは他のシルデナフィル製品に変える、服薬タイミングを工夫するなどのアドバイスをもらいましょう。

まれにみられる副作用

その他の副作用として、1%以下の発現率で報告されているものをご紹介します。

主な副作用に、心筋梗塞、低血圧、失神、高血圧、不整脈、胸痛、動悸があります。
バイアグラは血流を促進するお薬なので、循環器系の副作用は特に注意が必要です。

心筋梗塞については、因果関係は明らかではありませんが、外国市販後にバイアグラ服用後に心筋梗塞が発症したという報告があります。

精神・神経系では記憶力低下、不安、不眠症、めまい、傾眠、頭痛。

消化器系では悪心、胃腸障害、口渇、消化不良、腹痛、胃炎、下痢、口唇乾燥などの作用があるとされています。

また、呼吸器系で耳にすることの多い副作用としては、鼻炎が挙げられています。
これも、鼻粘膜の血管が拡張されることによって鼻汁が分泌されるという作用が推察されています。

他にも皮膚系統では発疹が報告されるケースもあります。

ほとんどの副作用が可逆的なもので、シルデナフィルの服用をやめると元に戻ることが多いものです。

副作用対策としては、胃薬、頭痛薬などの対症療法のお薬を飲む、用量を減らしてみる、空腹時ではなく少しあっさりしたものを食べてから服用してみる、他のシルデナフィル製品に変更してみる、シルデナフィル以外の製品を試すなどの選択肢があります。

効果・副作用が強いと感じた場合

効果が強い、我慢できない不快な副作用が発現した、といった場合の対処法をご紹介します。

ピルカッターで半分に割って服用する、空腹時を避けて服用するなどの対策が必要です。

ピルカッターとは、錠剤を2分割にして服用することができる錠剤カッターです。
容量が多いシルデナフィルを減らす場合に活躍してくれる利便性の高いアイテムです。

服薬タイミングの工夫によって効果と副作用をコントロールする方法もあります。
効果や副作用は個人差や服用時の体調にもよるため、医師と相談しながら自分に合った方法を見つけていくかたちになります。

副作用が出てしまったときのため、ご自身が食べたメニューや服用までの時間を書いておくと今後の参考になるでしょう。

柑橘系のカクテルやチューハイなどのお酒を飲んでいないかなどの確認も、しておくことが大事です。
お薬の代謝がうまく進まず、血中濃度が過剰に上昇して効果が強くでたり副作用がきつくなったりする可能性があります。

また、吐き気や胃腸の不具合を感じられた場合は医師の指示に従って胃薬を服用することもあります。

頭痛症状がある場合には、市販の痛み止め(ロキソニン、ボルタレンなど)を使用することも可能ですが、医師や薬剤師にご相談の上服用してください。

シルデナフィルの併用注意

シルデナフィルは併用注意、併用禁忌と規定されているお薬が多いため、効果的かつ安全に使用するために十分に理解しておくことが大切です。
通販で購入をされた方は医療関係者に相談しにくい環境のため、特にしっかりと学び正しい情報を得ましょう。

ED治療薬だけでなく、医薬品には患者さんの安全を確保するための正しい使用方法などが明記されている添付文書が必ずついています。
その中には「併用禁忌」「原則併用禁忌」「併用注意」という記載事項があります。

「併用禁忌」に記載されているお薬は、「絶対にシルデナフィルと一緒に服用してはいけません」という意味を持っています。
これには、医薬品だけでなく物理療法飲食物との相互作用も含まれます。

「併用注意」は、「併用禁忌」よりも強い禁止事項ではありませんが、必ず知っておくべき事項です。
併用注意とされる薬剤名と薬効分類名、次に併用してしまった場合の臨床症状・措置方法・作用機序などが記載されます。

大事には至らないケースがほとんどですが、併用をすることで効果が出すぎる、副作用が大きく出るなどの負担がかかる可能性があります。

同じ患者さんでも、その日の体調や食べものによっては危険にさらされるリスクや、加齢による臓器の働きの不調などにより体の負荷になる場合もがあるため十分に注意しましょう。

慎重に使う必要のある方

医療用医薬品添付文書には、慎重投与という項目が設けられています。

以下はバイアグラの投与時の場合の慎重投与対象患者です。

  • 陰茎に構造上の欠陥がある(患者陰茎屈曲、陰茎線維化)
  • 持続勃起症の素因となりえる疾患を持つ患者(鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫、白血病)
  • 他のPDE5阻害薬を投与中の患者
  • 出血性疾患または消化性潰瘍のある患者、
  • 65歳以上の高齢者
  • 肝機能障害のある患者
  • 重度の腎機能障害のある患者
  • αブロッカーを投与中の患者
  • チトクロームP450 3A4を阻害する薬剤を投与中の患者
  • カルペリチドを投与中の患者、多系統萎縮症のある患者

上記の患者さんは慎重に使う必要があるというだけで、使用が禁止されている訳ではありません。

特に多いのが65歳以上の患者さんと腎機能障害のある患者さんですが、25mgから開始することを推奨されているだけで、50mgまで使えないという意味合いではありません。

初めて使用する際には、患者さんによってどれだけの血中濃度上昇が認められるかわからないので25mgからの使用を推奨しています。

また、安全性が確立していないため慎重投与を行う必要がある、PDE5阻害薬を投与中の患者さんや、消化性潰瘍のある患者さんもいます。

併用注意薬

「併用注意薬」は「併用禁忌薬」ほど、深刻な副作用や問題を引き起こすものではないとされていますが、シルデナフィルと併用する際に注意が必要とされている薬剤です。

併用注意薬として登録されているものは、チトクロームP450 3A4阻害薬(リトナビル、サキナビル、ダルナビル、エリスロマイシン、シメチジン、ケトコナゾール、イトラコナゾール)があります。
これらはバイアグラの血中濃度が過度に上昇し、効きすぎの域に達して副作用発現の懸念も高まります。

前述のお薬の種類としては、抗ウィルス薬・抗水虫薬などで、心血管病の薬でないため、しっかりと認識していない場合併用してしまう可能性があります。
上記のお薬を飲んでいる間はバイアグラを飲まないように気を付けましょう。

次に「チトクロームP450 3A4誘導薬(ボセンタン、リファンピシン)」についてです。
このお薬は前述のものとは逆に、シルデナフィルの血中濃度を低下させ、効果が弱まる可能性があるので併用には注意が必要です。

シルデナフィルは肝臓により代謝されます。
その代謝の際酵素が増えてしまうことで、代謝が早まりシルデナフィルが体内になくなるスピードを増加させてしまいます。

ボセンタンは肺高血圧治療薬、リファンピシンは肺結核に使われるお薬です。
降圧剤、αブロッカー、カルペリチドについては、降圧作用が増強され低血圧になる可能性があるので注意が必要です。

シルデナフィルの併用禁忌

併用禁忌の意味

併用禁忌とは、特定の薬剤と一緒に服用をしてはならない薬剤や食品を製薬会社などが定めている事項です。

「併用禁忌」の項目は、前述の「併用注意」と同じ「相互作用」の項目に記載されますが、「併用禁忌」は「禁忌」が赤字で記載され医療過誤のないようにリスクマネジメントがなされています。

他の医薬品と併用することで、当該医薬品または併用薬の作用増強や減弱、副作用の増強、新たな副作用の出現、原疾患の増悪等が起こる場合など、臨床上注意が必要な飲み合わせのことを示します。

併用注意薬とは異なり、併用禁忌薬については一般名(お薬の成分名)とともに代表的な販売名(製品名)が明記されます。

また、本来は絶対に併用してはならないお薬でも、診断あるいは治療上当該医薬品を使用する必要性がある場合には、「併用禁忌」ではなく「原則併用禁忌」という別の項目に書き記されています。

シルデナフィルは、狭心症の治療薬として開発されていた経緯からも読み取れるように、慎重に取り扱うべきお薬です。
過度に心配する必要はありませんが、禁忌とされる事項には絶対に足を踏み入れないようにしましょう。

注意を心掛けることが、患者さん自身だけではなくパートナーの心身の安全を守ることにもつながります。

服用してはいけない方

シルデナフィルを絶対に服用してはいけないとされているカテゴリーをご紹介します。
自己判断で服用すると、重篤な副作用が現れるケースや死に至るケースが想定されます。

バイアグラには次に述べる患者には投与しないことを原則としています。

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤供与剤、ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビドなど)を投与中の患者
  • 心血管障害を有するなど性行為が不適当と考えられる患者
  • 重度の肝機能障害のある患者
  • 低血圧の患者(血圧<90/50)または治療上管理がなされていない高血圧の患者(血圧>170/100)
  • 脳梗塞、脳出血あるいは心筋梗塞の既往歴が最近6ヶ月以内にある患者
  • 網膜色素変性症患者、アミオダロン塩酸塩投与中の患者
  • 可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者

一見勃起不全と無関係な疾患に見えても、服用が禁止されていることがあります。

腎・肝機能に自信のない方、高血圧を放置して病院でお薬を貰っていない方は多くいらっしゃるかもしれません。
必ず医療機関で、ご自身が服用可能な健康状態であることを確認してください。

併用禁忌薬

併用注意薬は、「注意すれば併用は可能」という意図の薬剤を列記した項目であることは、先ほど述べました。

ここでは、それよりも更に厳しい「絶対に併用してはならないお薬」を紹介します。
それが併用禁忌薬といわれる薬剤です。
シルデナフィル製品によって若干のばらつきがあるため、ここではバイアグラの併用禁忌薬について記載します。

硝酸剤および一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビドなど)は、併用により降圧作用を増強することがあるため併用が禁止されています。
併用により一酸化窒素の作用が相乗的に増強され、血圧が下がってしまうのです。 急に血圧が低下すると、めまいやふらつきがあらわれ失神することもあります。

アンカロン錠は、有効成分がアミオダロン塩酸塩によってQT延長が増強され、不整脈が起こる可能性があります。
作用機序は現段階では明らかになっていません。

可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤(アデムパス)に関しては、併用により症候性低血圧を起こす危険があるとされています。

併用禁忌薬は、禁忌の項にも重複して掲載されるほど重要な事項です。
しっかりと確認しておきましょう。

シルデナフィル商品を入手する方法

シルデナフィルの有効性、安全性と使用方法を理解したところで、次に気になるのは入手方法でしょう。

医療機関に受診して処方してもらう方法と、個人輸入のインターネット通販で購入する方法に分けられます。
それぞれにメリット、デメリットはありますが、重要なことはED(勃起不全)患者さん自身がお薬の取り扱いと自分自身の体について理解したうえで服用することです。

処方してもらう場合、保険外診療(自費診療)となりお薬代は全額患者さん負担となります。

「生活習慣病のお薬などは3割負担なのにどうして?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、ED治療は疾病を治す目的というよりは、より良い生活を目指す目的で使用するもののため、保険を使用しないように決められています。

ED治療薬の価格についてですが、クリニック処方の場合は、バイアグラ50mgですと1錠1,500円ほど、25mgですと1,000円強と決して安くはありません。

クリニックによっては先発品のバイアグラよりも価格の安いジェネリック医薬品を取り扱っていますので、確認してみましょう。

一方、インターネット通販で購入する場合は多少安くなりますが、副作用などのリスク管理も自分で行う必要があり、偽造品をつかまされる可能性もありますのでご注意ください。

国内処方

病院に行ってお薬をもらう場合の流れを確認しましょう。
ほとんどのクリニックでは、EDの疑いがある場合問診が行われます。

ファイザー社やバイエル薬品のインターネットサイトには、EDセルフチェックも掲載されていますので、実施したうえで受診するとスムーズかもしれません。

下半身触診や精液検査などの面倒な検査はなく、患者さん自身が「勃起しない、または勃起が持続しないことによって性生活を満足に送れていない」と認識していればEDと診断されることが多いです。

その際は、お薬手帳を持参する、健康診断結果を持参するなど自分の体調や飲んでいる薬をしっかりと伝えられるようにしておきましょう。
併用が禁止されているお薬もありますので、安全な使用のためには重要事項です。
また保険外診療なので、保険証は不要です。

プライバシーに配慮したクリニックも増えており、男性のみで運営している医療機関もたくさんあります。

クリニックによってお薬の値段は異なります。
おおよその価格相場は、バイアグラ25mg1錠で1,000円強、50mg1錠で1,500~2,000円です。

さらに初診料、再診料がかかるケースもありますので、気になる方は受診前に問い合わせておくことをおすすめいたします。

通販購入

遠方に住んでいる方や、忙しくてクリニックの空いている時間に通院できないED患者さんは、インターネット通販で入手するという方法もあります。

通販のメリットは、受診時に羞恥心と闘わなくて済むこと、手軽に購入できること、折り合いの付く価格帯の商品を自分で探せることなどがあります。

ジェネリックは比較的安く販売されていますので、比べてみると良いでしょう。

デメリットとしては、海外製品の個人輸入代行サイトではトラブルが多く報告されていること、副作用のリスクマネジメントや禁忌事項については患者さん自身が正しい知識を持って使用する必要があることです。
支払いトラブルや配達時のトラブルが報告されているほか、偽物が届いたという情報まで寄せられています。

海外では、過剰な量を勝手に服用した方が死亡した例もあります。

また、楽天やAmazon等の大手通販サイトには流通していません。
薬事法によって、医療用医薬品は医師の監督の元で正しく使用されることが義務付けられているからです。
しかしながら、現状はメルカリやヤフオクのオークションサイトなどでは本物か偽物か判断がつきにくい製品も出品が相次いでおり、運営側も把握しきれていないようです。

細心の注意を払って購入するようにしましょう。

ニセモノに注意

海外通販には、バイアグラやバイアグラジェネリックの偽造品が多数流通しています。

国内医療機関でもらうお薬でも、ニセモノを処方しているクリニックもあるようです。

2008年からファイザー社、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリーの4社で行われている調査によると、国内インターネット通販で購入できるED治療薬のうち、ニセモノの割合は55%を超えていたとのことです。

効果と安全性を謳い、海外で発売されているジェネリックであると嘘をついて販売されているケースも散見され、効かないどころか体調を崩してしまうという被害も多数報告されています。

ニセモノを見分けるには、まず本物の製剤写真を知っておくことが大切です。
専門家でも見間違うほど精巧にできた製品もありますが、刻印が違うものや文字の大きさや数字が異なっているものなど、外観で判断できる範囲の偽物は見分けることが可能です。

また、そういった偽装品は劣悪な衛生環境で作られている可能性もありますので、安易に手を出さず、自分とパートナーの身を守りましょう。

偽物を扱う医療機関に行かないために、各メーカーが運営しているED治療クリニックの紹介サイトに載っている医療機関を受診するなどの対策を取ることをおすすめします。

シルデナフィルのまとめ

ここまで、シルデナフィルの開発史から効能効果・用法用量・注意事項、さまざまな剤型、入手方法にいたるまでご紹介しました。

ED治療薬とは、夢の薬といわれ歴史を切り開いた医薬品です。
バイアグラの主成分シルデナフィルの登場により、性生活の引退という概念は実質的になくなったといえます。

医療機関で正規品を入手し正しい使い方をすれば、効果実感の可能性は非常に高く、安全に使用できる薬剤です。
EDではないかと一人で悩まずに、まずは相談することが大切です。
ED治療薬について検索し学んでいる時点で、すでに治療への一歩は始まっています。

EDは治る疾患です。医学的に効果と安全性が認められているお薬で、パートナーとともに満足できる性生活を目指しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です